鋼矢板の画像

問題

 開削工法により掘削を行う場合に設ける土留め壁に関する、次の文章の(イ)(ホ)に当てはまる適切な語句を回答欄に記入しなさい。

(1)土留め壁の根入れ長を慣用法によって求める場合は、一般に、根入れ長は、次の4つの長さのうち最も長いものとする。
 
   1 根入れ部の土圧及び(イ)に対する安定から必要となる根入れ長
   2 土留め壁の許容鉛直支持力から定まる根入れ長
   3 掘削底面の安定から必要となる根入れ長
   4 土留め壁タイプごとに決められている最小根入れ長

(2)土留め壁内部の掘削の進行に伴い、掘削底面の安定が損なわれる変状現象としては、地下水が高く緩い砂質土の場合には(ロ)、軟らかい粘性土の場合は(ハ)、掘削底面付近に難透水層、その下に被圧透水層が形成される場合には盤ぶくれの各現象があり、それぞれの地質や状況に適合する現象について検討を行う必要がある。

(3)土留め壁を設ける地盤が特に軟弱で、地下水位が高く、土留め壁や掘削底面の安定が確保できない場合には、適切な補助工法などを採用するのがよい。一般に、土留め工に用いられる補助工法としては、地下水位を下げる地下水位低下工法((ニ)、ディープウェル)、地盤の止水性や強度の増加をはかる(ホ)工法(溶液形、懸濁液形)、深層混合処理工法、生石灰杭工法等がある。

回答

解答

(1)「道路土工-仮設構造物工指針」では、土留めが安定を保つためには、土留め壁の根入れ長を必要なだけ確保しなければならないが、土留め壁の根入れ長を慣用法によって決定する場合には、以下に示す4つから求められる根入れ長のうち最も長いものとするとされている。

1.根入れ部の土圧(イ)水圧に対する安定から必要となる根入れ長

2.土留め壁及び中間杭の支持力に規定する土留め壁の許容鉛直支持力から定まる根入れ長

3.掘削底面の安定に規定する掘削底面の安定から必要となる根入れ長

4.最少根入れ長3.0m。ただし、親杭の場合は1.5mとする。

 

(2)掘削の進行に伴い掘削面側と背面側との力の不均衡が増し、掘削底面の安定が失なわれると、地盤の状況に応じた様々な現象が起こる。
 地下水位の高い砂質土地盤において、遮水性の土留め壁を用いて掘削する場合、掘削の進行に伴って、土留め壁の掘削面側と背面側との水位差が徐々に大きくなり掘削面側の地盤内に上向きの浸透水流が生じ、砂が掘削底面から沸き立つ状態を「ボイリング」という。
 また、軟らかい粘性土地盤を掘削する場合、土留め壁の掘削面側と背面側との間に荷重差ができ、土の移動が起こることにより背面地盤が沈下し、掘削底面が隆起する状態を「ヒービング」という。
 土の移動に伴ってこれら以外にも掘削底面付近が難透水層、その下に被圧透水層(透水性のよい砂質土)で形成されている場合には、掘削底面の土塊が地下水の揚圧力によって持ち上げられる盤ぶくれの現象があり、それぞれの地質や状況に適合する現象について検討を行う必要がある。

質問

ヒービングとボイリングは過去問で度々出題されているけど覚えられない・・・泣

要約

砂質土地盤がボイリング、粘性土地盤がヒービングだよ。これだけでも覚えておいてね!

(3)土留め壁を設置する地盤が特に軟弱で、地下水位が高く、土留め壁や掘削底面の安定が確保できない場合には、土留め壁に対する補助工法として、地下水位低下工法薬液注入工法深層混合処理工法生石灰ぐい工法などで地盤条件の改善が行われる。地下水位低下工法は側圧の低減や掘削底面の強度低下防止、揚水圧による盤ぶくれ防止などを図ることから「ウェルポイント工法」や「ディープウェル工法」が採用される。「薬液注入工法」は止水性の増加を図り、パイピングやボイリング防止に効果がある。また、「深層混合処理工法」や「生石灰ぐい工法」等は地盤強度の増加を図ることによりヒービング防止に用いられている。

(イ) (ロ) (ハ) (ニ) (ホ)
水圧 ボイリング ヒービング ウェルポイント工法 薬液注入工法