コンクリート構造物の画像

問題

コンクリート構造物の施工に関する一般的な基本原則の記述として適切でないものを次の1~8から2つ抽出し、その番号をあげ、適切でない点及びその点が適切でない理由を解答欄に簡潔に記述しなさい。

1.コンクリートをコンクリートポンプみより圧送する場合、水平管1mあたりの管内圧力損失は、コンクリートの種類及び品質、吐出量、輸送管の径によって定まり、一般に、スランプが小さいほど、また、吐出量が大きいほど大きくなる。

2.コンクリート標準示方書では、コンクリートを練り混ぜはじめてから打ち終わるまでの時間を、外気温が25℃を超えるときには1.5時間以内、25℃以下のときには2時間以内を標準としている。

3.寒中コンクリートの施工においては、打込み時のコンクリート温度は、気象条件が厳しい場合や部材厚の薄い場合には、最低打込み温度は10℃程度を確保する必要があるが、部材厚が厚い場合には、打込み温度を上げると、逆に水和熱に起因する温度応力によってひび割れが発生しやすくなるので、5℃を下回らない範囲で打込み温度を下げておくのがよい。

4.膜養生を行う場合、膜養生剤は、コンクリート表面の水光りが消えて、十分乾燥した後に散布するのがよい。

5.寒中コンクリートの施工にあたって、給熱養生を行う場合は、コンクリートが乾燥しないように、散水などによって湿潤状態に保つのがよい。

6.型枠の取外しの時期の判定は、標準養生をしたコンクリート供試体を用いて圧縮強度試験を行い、その結果によるのがよい。

7.コンクリートの打込み速度の変動などにより、コンクリート運搬車も待機時間が長くなった場合には、加水によりコンクリートの施工性能を確保する。

8.せき板が存置されていても、コンクリートは必ずしも湿潤状態に保たれているとは限らない。

 

解答

解答

コンクリート標準示方書」に定められているコンクリート構造物の施工に関する一般的な基本原則に照らして、適切でないものは、問題の1~8の中で、4、6及び7になるので2つを選択して、簡潔に記述すれば良い。

4.を防ぐ為に行う場合に用いられるもので、膜養生剤の散布はコンクリート表面の水光りが無くなってすぐに行い、仕方なく散布が遅れる時は、膜養生剤の散布まではコンクリート表面を湿潤状態に保ち、乾燥させないようにする。

6.標準養生は、コンクリートが本質的に持っている強度の特性値を求めるための養生で20±3℃の水中養生である。
型枠の取外しの時期の決定は、構造物に打設されたコンクリートと同じ状態で養生したコンクリート供試体の圧縮強度で判断するのが良いが、供試体は構造物のコンクリートよりも外気温もしくは乾燥の影響を受けやすいので、これらを考察した養生方法に基づいて判断するのが好ましい。

7.コンクリ-トの打込み速度が遅くなり運搬車の待ち時間が長くなった場合、コンクリートの施工性能を確保する目的であっても、コンクリートへの加水はコンクリートの品質が著しく変化し、耐久性の大幅な低下やひび割れ等の原因になるため絶対に行ってはならない。

番号 適切でない点とその点が適切でない理由
4 適切でない点:膜養生剤が十分に乾燥した後に散布する。
適切でない理由:乾燥した後に散布すると、表面の湿潤状態が保たれず、ひび割れ等の施工不良につながる。
7 適切でない点:加水によりコンクリートの施工性能を確保する。
適切でない理由:加水するとワーカビリティーは確保できるが、材料分離が生じたり強度不足になる可能性がある。
6

適切でない点:標準養生
適切でない理由:構造物に打込まれたコンクリートと同じ状態で養生したコンクリート供試体の圧縮強度の結果による。