問題
コンクリート構造物に硬化後発生する有害なひび割れには、温度日々割れ、鉄筋の腐食によるひび割れ、アルカリ骨材反応によるひび割れがある。
これらのひび割れの発生原因とその原因に対する防止対策を、それぞれ解答欄に簡潔に記述しなさい。
解答
コンクリートの強度は、セメントが水和反応することによって発現する。
その時にしょうじる水和熱が、打設当初から少しずつコンクリート中に蓄えられ、断面が厚い場合は放熱がしにくいため、コンクリート内部の温度上昇が大きくなる。
これによって部材が延び、放熱によって収縮する。
この時、収縮に伴う動きを季節構造物などによって拘束されると、コンクリートの内部に応力が生まれ、内部応力が部材の引っ張り強度を超過すると、温度ひび割れができる。
鉄筋の腐食は、コンクリートの表面から中性化が進行したり、塩化物イオンが侵入したりした上、かぶりを超えて酸素や水分が供給されることによって発生する。
錆びた鉄筋は膨張してかぶりコンクリートを押し広げ、ひび割れができる。
アルカリ骨材反応によるひび割れは、骨材中のある種の成分とセメント等に含まれているアルカリが反応して骨材の表面に膨張性の物質が生成され、これが吸水膨張してコンクリートにひび割れができる現象である。
この反応が進むとコンクリートが異常に膨張し、表面部でも亀甲状のひび割れをはじめ、コンクリートの膨張に起因した各種ひび割れが発生し、コンクリートの劣化が進む。
これらを参考に、鉄筋、温度、およびアルカリ骨材反応によるひび割れに対する発生原因と防止対策について、記述すれば良い。
温度ひび割れ
発生原因 | 防止対策 |
・セメントの水和熱に伴う過大な発熱 | ・低発熱セメントを使用する。 |
・高性能減水剤の使用によりセメント量を低減する。 | |
・養生により急激な温度低下を防止する。 |
鉄筋の腐食によるひび割れ
発生原因 | 防止対策 |
・鉄筋のかぶり不足 | ・鉄筋の加工、組み立てを正確に行う。 |
・型枠の加工、組み立てを正確に行う。 | |
・打設時に配筋を乱さない。 | |
・コールドジョイントによる施工不具合 | ・打ち継ぎ目処理の徹底。 |
・所要の水密性の確保。 |
アルカリ骨材反応によるひび割れ
発生原因 | 防止対策 |
・骨材中に限度以上の反応成分が存在する。 | ・安全と認められる骨材の使用。 |
・抑制効果のある混合セメント等の使用。 | |
・コンクリートの細孔溶液のOH-イオン濃度が限度値以上 | ・高炉セメントまたはフライアッシュセメントといった混合セメントの使用。 |
・コンクリート中のアルカリ総量の抑制。 |