コンクリートのひび割れの画像

問題

コンクリートに発生した次のひび割れの状況図からひび割れの名称を2つ選び、各々のひび割れの原因と防止対策を記述しなさい。

コンクリートのひび割れの画像

ひびわれの状況図

解答

解答

コンクリートに発生するひび割れに関しては、「コンクリート標準示方書(施工編)」の「2.7ひび割れ抵抗性」および「コンクリートのひび割れがわかる本」等に記載されている。
それらの記載内容から、問題のひび割れの発生原因と防止対策をまとめると下表になる。

ひび割れ名称 原因 防止対策
沈みひび割れ コンクリートの沈みと凝固が同時に進行する過程で、その沈み変位を鉄筋が拘束してひび割れが生ずる。

  • コンクリートの材料分離
  • 締固め不足
  1. AE剤、AE減水剤・高性能AE減水剤を用いて単位水量を少なくする。
  2. 細骨材・粗骨材の粒度分布の適切なものを使用して、単位水量、水セメント比を小さくする。
  3. こて仕上げの段階で、タンピング修復する。
  4. 沈み変位は終了段階で、再振動する。
  5. ポゾランなど混和材を用いて材料分離を少なくする。
乾燥収縮ひび割れ コンクリートの表面部が乾燥収縮してひび割れを生じる。

  • 単位水量が多い
  • 表面養生が不良
  • 型枠の早期の取外し
  • 骨材の乾燥収縮が大きい
  1. コンクリートの単位水量をできるだけ少なくする。
  2. 収縮が少ないセメントを使用する。
  3. 骨材自体の乾燥収縮の小さいものを使用する。
  4. 湿潤養生を5日間以上行うほか、型枠をできるだけ長く存置する。
  5. 型枠取外し後も湿潤養生を行い、急激な温度変化、直射日光、風が当たらないようにする。
  6. ひび割れが発生すると予測される箇所に補強鉄筋を入れる。
  7. 誘発目地を適所に入れ、ひび割れを集中させる。
水和熱によるひび割れ セメントと水の水和熱がコンクリート内部に蓄積され、その温度が低下する際にコンクリートの収縮が拘束を受けて、ひび割れる。

  • 単位セメント量を少なくする。
  • 断面が大きいと温度上昇が大きく、発生しやすい。
  • 養生期、急激な冷却を受けると発生しやすい。
  1. セメント量の少ない配合やセメント種類を、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、フライアッシュセメントを選定する。
  2. 高性能減水剤、高性能AE減水剤を利用して、コンクリートの単位セメント量を少なくする。
  3. プレクーリング、パイプクーリングを行い、コンクリート打込み時および養生時の温度低下を図る。
  4. 誘発目地を設け、ひび割れを集中させる。
  5. コンクリートの表面を覆うなどして急激な温度低下を与えない。
アルカリ反応によるひび割れ コンクリートの中のアルカリ分と骨材の特定シリカが反応し、膨張ひび割れが生じる。

  • 反応性のある骨材の使用
  1. 骨材のアルカリシリカ反応性試験(化学法、モルタルバー法)の結果で無害とされた骨材を使用する。
  2. コンクリート中のアルカリ総量を3kg/m3以下とする。
  3. 高炉セメント(B種またはC種)、フライアッシュ(B種またはC種)を使用する。
  4. コンクリートへの塩分、水分供給の防止および被覆処理をする。

上記の表からひび割れの名称を2つ選び、その原因と防止対策をそれぞれ1つ簡潔に記述する。

要約

コンクリートとひび割れは切っても切り離せない関係なんだね。

解答

そうなんだ。
コンクリートが硬化した後にコンクリート中の水分が蒸発して、その水分量だけ乾燥して収縮する。
だからひび割れが起こらないコンクリートは物理的に考えて無いといえるね。

要約

そんな~。
何か対策はないのかな?

解答

ひび割れをできる限り抑える施工法がとても重要になってくるね。
一般的には養生マット等で湿潤養生することで軽減できるよ

要約

生コン打設後に布みたいなのを被せるのはそのためだったんだ。

解答

寒冷地ではまだ硬化していないコンクリートが凍ってしまいひび割れにつながるので、水和熱での保温用としても養生マットを使っているよ。