コンクリート打設の画像

問題

コンクリートの施工に関する記述として適切でないものを次の1~10から3つ抽出し、その番号と適切でない箇所をあげ、その箇所を訂正して解答欄に記入しなさい。

1. 凝結硬化の初期に凍結を受けたコンクリートは,その後適切な養生を行なっても強度は回復しない。

2. 水中コンクリートは,空気中で施工するコンクリートの場合よりも配合強度を高くするか,若しくは設計基準強度を小さく設定する。

3. 暑中コンクリートの施工では,打込み時のコンクリートの温度は35℃以下でなければならない。

4. 場所打ち杭及び地下連続壁のコンクリート打込み前のスライム処理は,掘削終了後とコンクリート打込み直前の2回行うのがよい。

5. 海水の作用を受けるコンクリートの水セメント比は,一般のコンクリートに比べて大きくすることが必要である。

6. 高強度コンクリートは,ブリーディングが極めて少ないので,表面仕上げがしやすい。

7. マスコンクリートの養生では,脱型後もコンクリート表面の急冷を防止するため,シート等によりコンクリート表面の保温を継続して行うことが必要である。

8. 型枠に作用するコンクリートの側圧は,気温が高いほど,コンクリートの凝結時間が早いものほど,スランプ値が大きいものほど,小さくなる。

9. コンクリートのひび割れにシール剤を注入し,水の浸入を止める工法には有機系と無機系注入工法があり,有機系の注入剤では,一般に常温硬化型のエポキシ樹脂が多く用いられる。

10. コンクリートの非破壊検査に用いる反発硬度法(シュミットハンマ法)では,鉄筋位置が検査できる。

回答

解答

コンクリート標準示方書」に定められているコンクリートの施工に関する記述として適切でないものは、問題の1~10の中では5,6,8,10で、その理由は下記のとおりである。

5.海水または干満の影響を受けるコンクリートでは、構造物としてスケーリングを生じる恐れがあるため、一般の現場施工の水セメント比55%より大きくするのではなく、それよりも小さい45%程度のコンクリートを使用する。

6.高強度コンクリートは、単位セメント量が多いため、ブリーチング水が少なく、打込み直後にコンクリート表面が乾燥してこわばりを生じることにより、表面仕上げがしやすいのではなく、表面仕上げがしにくい場合がある。

8.型枠に作用するコンクリートの側圧は、コンクリートの凝結、硬化に関係することから、気温が高いほど、コンクリートの凝結時間が早いほど、側圧は小さくなるが、スランプ値が大きいコンクリートの側圧は、液圧に近い側圧分布を示すためスランプ値が大きいものほど小さくなるのではなく、大きくなる。
このことから、型枠に作用するコンクリートの側圧は、スランプ値が小さいものほど、小さくなる。

10.コンクリートの非破壊検査に用いられる反発硬度法(シュミットハンマ法)で検査できる項目は、コンクリート強度および弾性係数であり、鉄筋位置は検査できない。

上記をまとめると下表になる。

誤りの番号 適切でない箇所 適切でない箇所の訂正
5 大きくする 小さくする
6 表面仕上げがしやすい 表面仕上げがしにくい
8 スランプ値が大きいものほど小さくなる スランプ値が小さいものほど小さくなる
10 鉄筋位置が検査できる 鉄筋位置は検査できない